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Brilliance










住宅設計監理 -新築-
所在地 :大阪府摂津市
構造規模:木造/2階建て
延床面積:約42坪
Brilliance
― 受け継がれる工夫、光の居処 ―
私が独立して初めて手がけた戸建て住宅の設計監理プロジェクトである。
事務所としての施工事例がまだ少なかった頃、クライアントと出会い、若さと意欲に期待を寄せていただいた。
その信頼に応えたい一心で、これまでに学び、身につけてきたすべてを注ぎ込むように向き合った計画である。
より良い空間を目指して現場へ足を運び続け、試行錯誤を重ねながら完成へと辿り着いたこの住まいは、今もなお、初心を思い起こさせてくれる存在であり、当事務所にとって確かな第一歩となった礎のようなプロジェクトだと考えている。
敷地は、住宅が比較的密集して建ち並ぶ環境の中にあり、建て替えによる計画であった。
北側には神社が隣接し、日中は参拝者が行き交う参道に面している。計画を進めるにあたり、設計の軸としたのは「光の採り込み方」であった。西隣の敷地は約1メートル高く、さらに3階建ての建物が建っているため、午後の光は届きにくい。また南側についても、将来的に3階建てが建つ可能性があり、安定した採光は期待しづらい状況であった。
そうした条件の中で、特に午後の光をどのように住まいへ導くかを丁寧に検討し、西側を越えてくるわずかな光を有効に取り込む方法を探った。
建物中央東側に中庭を設け、上部からの光を取り込み、それを屋内全体へと拡散させる構成とした。
参道側に面する建物の基礎は、敷地の地盤を上げるための土留めを兼ねており、外壁から後退させることで街に対する圧迫感を和らげるとともに、外観に浮遊感のある特徴を与えている。
参拝者からの視線に配慮し、参道側には直接的な開口部を設けず、風と光を導くための格子を配置した。
1階では内部が見えない角度とし、2階ではやや開放的になるよう、格子の間隔や向きを調整している。
門扉はあえて設けず、トンネル状のアプローチを通ることで内外の意識的な境界をつくり、
そのやや閉じた動線を抜けた先に広がる、明るく開放的な空間がより印象的に感じられるよう計画した。
中庭からの光を最大限に活かすため、各居室は中庭に対してオープンな構成とし、住まい全体が中庭を介してつながる、ワンルームのような広がりを持たせている。一見すると開放的でありながら、中庭を挟むことで各室の間には適度な距離が生まれ、プライバシーは視線制御やブラインドによって柔軟に調整できる。中庭に差し込む光は、庇や屋根形状、そして植栽計画によっても細やかにコントロールされている。
高木には落葉樹を選び、夏には緑が光を和らげ、冬には葉を落としてやわらかな光を室内へ導く。
さらに、冬季の太陽高度に合わせて屋根形状を調整し、低い角度の光を効率よく取り込む工夫を施した。
町家造りに見られる坪庭のように、周囲を建物に囲まれた環境の中で光と風を導く中庭の工夫は、古くから受け継がれてきた知恵であり、現代においても有効な手法である。
本計画では、その考え方を踏まえつつ、中庭からの光によって住まい全体を明るく包み込むため、必要な大きさや配置のバランスを慎重に検討した。内外の壁面を白を基調とすることで、反射光を活かし、建物の奥まで光が届くよう意図している。また、中庭に配した多様な植栽は、木漏れ日を落とし、日々表情を変えながら、住まい手に季節の移ろいを静かに伝え、暮らしに潤いをもたらす存在となっている。
受け継がれてきた中庭の工夫を現代に読み替え、光を迎え入れる居処を建築の内に用意することで、この住まいには静かな輝きが生まれた。
Brilliance とは、制約を越えて差し込む光が、居場所を得て建築に留まる、その瞬間の美しさを表している。この住まいで過ごす日々の中で、自然の気配とともに新たな豊かさを見出し、住まい手が心地よく時を重ねていくことを願う。
