WORKS, WORKS - HOUSE

Strata

FACADE

GARDEN

APPROAACH

GALLERY

BEDROCK BATH

MULTIPURPOSE ROOM

REST ROOM

Strata

― 思考と時間が積み重なる場所 ―

本計画は、建築に深い理解と明確な美意識をもつクライアントから託された、二軒目の設計である。
別荘として避暑地や海辺も検討されたが、「日常の延長にある距離感こそが最も豊かである」という結論に至り、自宅から徒歩圏内に別邸を構える計画が始まった。土地購入の段階から相談を受け、この場所にどのような建築がふさわしいかを、クライアントと共に考えるところから設計はスタートしている。

この建築では、いわゆる「セカンドハウス」としての住宅的機能はあえて主題としなかった。求められたのは、クライアントが長年集めてきたコレクションが空間の一部として存在し、岩盤浴によって心身を整え、仕事や思索に深く没入できる空間である。
コレクションはケースに収めて鑑賞するのではなく、ふと視界に入り、時間とともに関係性が育つよう、空間の中にさりげなく配置している。

計画地は閑静な住宅街の角地である。街並みに溶け込みながらも、静かな存在感をもつことを意識した。外観を特徴づける黒い三連屋根は、山の稜線や地層を想起させる形態として構成し、単調にならないようリズムと奥行きを与えている。
植栽や景石の色彩と質感を引き立てる背景として黒い外壁を選択し、アーティスティックな樹々や草花、大きな天然石と調和する佇まいを目指した。

内部では、フラットな敷地でありながら、アプローチで約1メートルのレベル差を設け、基準階をあえて高く設定している。庭へと視界が抜ける吹抜けのエントランスギャラリーは、外部とのつながりを感じさせる開放的な空間であり、そこから一転、洞窟に入るような感覚でトーンを落とした階段を下りると、仕事や会議にも使える集中の空間が現れる。
水平に切り取られた横長の窓から見えるのは地盤面の景色であり、日常とは異なる視点が、思考を静かに切り替えていく。

仕上げには、木毛セメント板のラフな壁と、化粧格子による繊細な天井を組み合わせ、粗さと精度という対照的な要素を共存させている。感覚的でありながらも緊張感を失わない、そのバランスが空間の質を支えている。

この建築は、三連屋根が生む重なりの構成の中で、思考や時間、コレクション、記憶が静かに積み重なっていく場である。
街にゆとりとアート性をもたらしながら、クライアントが訪れるたびに心と身体が整い、ここで得られる幸福感が、クライアントの求めた人生の層(Strata)を深めていく場所となることを願う。

住宅設計監理 ー新築ー

所在地 : 兵庫県 西宮市

構造規模: 木造 / 2階建て

延床面積: 約43坪

敷地面積: 約116坪

水盆 / オープンガーデン / 吹抜け

ギャラリー / 岩盤浴 / 全館空調 / アート

2026-01-10